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日本学術会議の活動と運営に関するご連絡(会長談話の発出等)News & Topics


2021年10月1日
日本学術会議幹事会

2021年9月30日、日本学術会議会長談話「第25期日本学術会議発足1年にあたって(所感)」を発出いたしました。
また、日本学術会議の活動と運営に関する記者会見を行いました。

記者会見冒頭に梶田隆章会長から会長談話の概要(下記のとおり)を紹介いただいたほか、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」に掲げた具体的な取組事項の進捗状況、カーボンニュートラル(ネットゼロ)に関する連絡会議(第1回)の開催、新型コロナウイルス感染症に関する公開講演会の報告、学術フォーラム・公開シンポジウム等の開催予定についてご説明いたしました。
記者会見で配布した資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。

日本学術会議会長談話「第25期日本学術会議発足1年にあたって(所感)」の概要

新型コロナウイルス感染症が世界を深刻な危機に陥れてから、間もなく2年が経とうとしています。日本でも世界でも多くの方々が感染症に苦しめられ、命を落とされた方も莫大な数に上っています。パンデミックの犠牲となり、また苦しんでおられるすべての皆さまに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。治療のために文字通り献身的に取りくんでおられる医療関係者、ワクチン・治療薬開発に日夜努力されている科学者・技術者、感染症対策と社会的影響の打開に奮闘してくださっているすべての方々に心からお礼申し上げます。

さて、昨年10月1日に発足した第25期日本学術会議が活動を開始して、ちょうど1年が経過しました。この1年は私たちにとって文字通りの「試練の1年」でした。そこで私はこのたび日本学術会議会長としての「所感」を発表いたしました。全文は別途ホームページ上などで公開しておりますが、ここではその主旨を簡単に紹介して、ひろく国民の皆さまにお伝えいたします。

世界がパンデミックの脅威に晒されるなか、ワクチン開発をはじめ科学・技術の大切さが浮き彫りになりました。他方、科学への不信や科学的知見と政治的判断のズレなどの問題が世界各地で見られます。そうしたなかで私たちは、感染症やワクチンについて正確な情報を広く社会に伝えて、みなさんの疑問や不安に応える努力を重ねてきました。同時に各国のアカデミーと協力して、G7やG20の首脳にパンデミックに関わる社会課題解決のための科学的助言を行う活動も進めてきました。こうした努力を引き続き最優先で進めようと考えています。

日本学術会議の活動も大きく変わろうとしています。今年4月の総会では「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を決定しました。学術会議が現代社会で求められる役割をこれまで以上に十分に発揮できるように改革の方向性を述べたものです。政治的意思決定において科学的判断の重要度が増していることに留意し、政治や社会への科学的助言の役割を抜本的に強めることが大切だと考えました。また、組織の見直しにも着手しました。

現代の世界と日本には、パンデミックへの対応、気候変動への対処とカーボンニュートラルの実現、SDGsの達成など、すべての学問分野が関与すべき課題が山づみです。学術の自立性と自発性に基づきながら、人類的な課題に機動的に取り組みたいと考えています。そのための自己改革を進めてまいります。

私たちは、広く社会や政治との対話に基づいて、いま申し上げた諸課題に挑戦したいと考えています。しかし残念ながら、現在、日本学術会議は大きな困難を抱えています。第25期の発足にあたり日本学術会議が推薦したうち6名が任命されなかったのです。私たちはこの方々の任命と理由の説明をたびたび求めてきましたし、今も求めています。しかし、いずれもなされぬまま1年が経過しました。日本学術会議法の定めを満たさぬこの状態を解決できるのは任命権者である内閣総理大臣だけであり、総理にはその責務があると私たちは考えています。この問題が一刻も早く解決され、相互の信頼にもとづく対話の深化を通じて、現在の危機を乗り越える努力が重ねられることを、私たちは強く希求しています。

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