連携会員、協力学術研究団体 各位
日本学術会議事務局
平素より大変お世話になっております。
今般、日本学術会議会長談話「日本学術会議の法人化に関する法案の検討状況について」が発せられましたので、下記のとおりご連絡いたします。
日本学術会議のあり方をめぐって、日本学術会議は、これまで、日本学術会議がナショナルアカデミーとしての役割を果たすためには、(1)学術的に国を代表するための地位、(2)そのための公的資格の付与、(3)国家財政支出による安定した財政基盤、(4)活動面での政府からの独立、(5)会員選考における自主性・独立性、という5要件を満たす必要があるとの一貫した考えの下に、この問題に向き合ってきた。また、昨年(2024年)7月29日には懸念すべき5項目を明示した会長声明を発出した。
日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会は、昨年(2024年)12月20日に最終報告書(「世界最高のナショナルアカデミーを目指して」)をまとめた。その後、内閣府において、新たな「日本学術会議法案(仮称)」の作成が進められている。日本学術会議としては、昨年(2024年)12月22日に公表した会長談話において、「日本学術会議は改革の当事者として、具体的な法制化に向けて責任をもって政府と協議していく」としたことを踏まえて、内閣府との間で意見調整を行ってきた。さらに、本年2月13日に日本学術会議幹事会を開催して、内閣府総合政策推進室から法案の検討状況についての説明を受け、質疑を行った。
しかし、本幹事会における説明及び質疑を踏まえると、現在検討されている法案は、法人発足時の「特別な選考」、監事及び評価委員の主務大臣任命を含む仕組み、選考助言委員会の法定化、会員選考の自主性・独立性、活動面の独立性、安定的な財政基盤等、前述の5項目も含む日本学術会議の懸念を払拭するものとはなっていない。これらの懸念事項については、最終報告書に関してすでに指摘したものに加えて、最終報告書では詳細が不明であったが法案作成過程で問題点が明確になったものがあると考えている。
今後、内閣府は現状の内容で法案の国会提出に向かう可能性があることから、日本学術会議としての対応を明確化するため、早急に日本学術会議会員に対し現在の状況を説明し、意見を聴取する所存である。内閣府に対しては、日本学術会議総会における議論の前提として、法案全体を早急に公開することを求める。また、日本学術会議のより良い役割発揮のためには、政府と日本学術会議の相互の信頼関係が重要であることを改めて述べるとともに、法案作成過程で日本学術会議が懸念する点の払拭が図られることを強く望む。
令和7年2月27日
日本学術会議会長 光石 衛