会員、連携会員、協力学術研究団体 各位
日本学術会議事務局
平素より大変お世話になっております。
日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の第1回会合が開催されたことを受け、昨日、会長メッセージ「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の設置及び開催について」が発せられましたので、下記のとおりご連絡させていただきます。
会員、連携会員、協力学術研究団体 各位
令和5年8月29日
日本学術会議会長 梶田 隆章
すでに報じられている通り、本日午前、日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の第1回会合が開催されました。この懇談会は、ご承知の通り、先の日本学術会議総会の勧告及び声明を受けて先の国会への日本学術会議法改正案の提案が見送られたことを受けて、後藤茂之内閣府特命担当大臣の決定により設置されたものです。座長は元日本学術会議副会長である岸輝雄東京大学名誉教授が務められ、構成員は12名で構成されています。日本学術会議会長は懇談会構成員ではありませんが、毎回出席することが求められており、また学術会議の副会長その他の幹事会メンバーは必要に応じて陪席して発言することが許されています。大臣挨拶や内閣府担当官の発言からは、この懇談会を各界から選ばれた構成員や政府と日本学術会議との「開かれた協議の場」であると考えていることが窺われました。私たちは、このような場が設けられたことを、「政府と学術の建設的関係を今後に向けて築き発展させていく糸口が維持されたことを意味する」ものと考え、私たちの考える「開かれた協議の場」とやや異なるものであってもこれに積極的に参加し、本来の「開かれた協議の場」としての実質が備わるように努力するという態度で臨みました。
懇談会のアジェンダは、いわゆる「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針2023)に「日本学術会議の見直しについては、これまでの経緯を踏まえ、国から独立した法人とする案等を俎上に載せて議論し、早期に結論を得る」と記載されたことに基づき設定されております。これに対し、本日の会合の場でも私からは、「(提出の見送られた)法改正案か、法人化か」という二者択一の議論ではなく、「日本の学術体制全般にわたる開かれた協議の場」として日本と世界の学術の改善に資するための広い観点に立って、日本学術会議の役割やそのあり方を考える場とすることを期待したいと申し上げました。懇談会構成員の皆様のお考えは多様でしょうが、この姿勢自体は共感をもって受け止められたものと感じております。
他方、「開かれた場」という観点について私からは、懇談会に課せられた任務の性格上、会議自体を公開して広くアカデミアや国民の前で議論することをお願いいたしました。しかし残念ながら、運営要領では懇談会の会合は非公開と定められました。とはいえ、会議の場に提出された資料は原則公表、また詳細な議事録も顕名で作成され、可及的速やかに公表するとの方針が確約されました。透明性のある議論を行うために必要な最低限の保障がなされたものと考えつつ、今後も、可能な限り公開性を高めるように求める所存です。
皆様には、ぜひ内閣府HPに掲載される資料と議事録を読んでいただき、懇談会の場で何が議論され、何が課題となっているのかを確認して、学術会議の構成員としてまたアカデミアのメンバーとして、あるべき日本学術会議を守り発展させるために、懇談会構成員の皆様や日本学術会議の執行部とともに考えていただくことを願っています。ご意見があればぜひ幹事会にお知らせください。懇談会の場における報告や発言を通じて、皆様の意見を伝えていきたいと思います。懇談会の場に反映いたします。
第25期執行部の残された任期は1か月となりましたが、期末に至るまで有識者懇談会構成員の皆様に日本学術会議の意義と役割について理解を深めていただけるよう、最大限の努力をしてまいります。他方で、有識者懇談会は学術会議側の期の交代を跨いで継続されます。新たに会員・連携会員となられる皆様や、次回総会で選出される新執行部の皆様には、私たちの積み上げてきた議論を理解いただき、私たちの思いを引き継いで懇談会の場に臨んでいただくことを期待しております。