運輸省港湾技術研究所地盤震動研究室 一井康二
1.はじめに
3.データの公開と利用
観測された強震記録のうち、20Gal以上のものについては前述の港湾技研資料
「港湾地域強震観測年報」にてオリジナル加速度記録波形を報告し、50Gal以上
のものについてはオリジナル加速度記録波形・補正加速度記録波形・SMAC相
当加速度記録波形・速度波形・変位波形・応答スペクトル・フーリエスペクト
ル・水平面内の加速度・速度・変位の軌跡について報告している(1994年港湾
地域強震観測年報まで既刊)。また、大地震時の強震記録については本震およ
び余震時の観測記録について特集した港湾技研資料を別途発行している(1995
年兵庫県南部地震特集号まで既刊)。これらデジタルデータのうち、港湾技研
資料に掲載したものについては情報交換の一環として大学・民間(研究者・実
務者・マスコミ等)に要望があれば提供しており、提供にあたっては港湾技術
研究所(地盤震動研究室)が窓口になっている。
強震計設置地点の地盤条件等については、非定期的に刊行される港湾技研資
料「港湾地域強震観測地点資料」にて公表されている。現在最新版の地点資料
を作成中であり、1998年度中に刊行する予定である。
4.空港における強震観測
港湾技術研究所では港湾・海岸施設だけでなく空港土木施設に関する研究も
行っており、空港における強震観測の実施と観測された強震記録の解析も運輸
省航空局や東京空港工事事務所等と共同で行っている。図には強震観測を実
施している空港の配置も示している。1997年度から運輸省航空局では空港にお
ける強震観測の実施を進めており、今後数年の内に強震観測を実施している空
港の数は急増する見込みである。
これら空港における強震観測は、比較的最近に観測開始されたことや、実施
主体が運輸省航空局・運輸省第二港湾建設局東京空港工事事務所・新東京国際
空港公団・関西国際空港株式会社と多岐に渡るため、港湾技術研究所からのデ
ータ公開等については今のところ予定していない。今後、空港における強震観
測網の整備が一段落した時点で検討されるものと思われる。
5.おわりに
港湾地域強震観測では今後、1)地表・地中での二点観測の推進、2)全観
測地点のデジタル化およびオンライン化の2項目を重点課題として取り組んで
行く予定である。
また、既に観測を中止したところを含め、全観測
地点の地盤情報(ボーリング記録など)の整理を現在行っており、土質条件を
まとめた地点資料を1998年度中には刊行できる見込みである。観測・蓄積され
たデジタルデータの提供に関しては下記の地盤震動研究室が窓口となっている
が、データ量が膨大であるため、WWWやCD-ROMによるデータ提供について
も現在検討している。
○お問い合わせ窓口○
〒239-0826 横須賀市長瀬3-1-1
運輸省港湾技術研究所 地盤震動研究室
強震観測担当 一井康二・佐藤幸博
Tel:0468-44-5028 / Fax:0468-44-0839
E-mail: satoh_yuk@cc.phri.go.jp