2015年度 強震動委員会議事録


第97回強震動委員会議事録

日時:2015年5月26日(火) 13:00~14:00
場所:アパホテル&リゾート東京ベイ幕張 A04
出席者(敬称略):香川(委員長),青井,植竹,大堀,司,武村,竹中,津田,中原,畑山,久田,古村,干場,堀川,松島,三宅,宮腰,盛川(以上委員)

資料
97-0 第96回強震動委員会議事録
97-1 調査班A報告
972 B班資料
97-3 資料(C班)

議題:

1.新任委員挨拶
 今回から、纐纈委員と交代して委員となった三宅委員から挨拶があった.

2.各調査班からの報告等
■調査班A
 資料97-1により,中原班長から,日本活断層学会との共同提案により今回の日本地球惑星科学連合大会で設けられた特別セッション「兵庫県南部地震から20年:活断層と強震動に関する研究の進展」(コンビーナ:中原班長,堀川委員,日本活断層学会・丸山正氏)の概要及びその開催報告をニュースレターに投稿することが報告された.来年の日本地球惑星科学連合大会に提案する特別セッション(提案の締切りは例年10月下旬)のテーマをA班において検討する方針が示された.これに関連して,来年の大会はAGUとの合同セッション,再来年の大会はAGUとの合同で開催することを意識した上で検討を行ってはどうかとの提案があった.8月中にはテーマを固めたいとのこと.

■調査班B
 資料97-2により,津田班長から,今年度の講習会を例年度どおり年末に東京工業大学田町キャンパスにおいて開催する方針が示されるとともに,講習内容の候補案が示された.講習会は,11月下旬から12月上旬の時期に開催することとなった.講習内容は,地震動計算の実習を軸としたものとすることとし,具体的な講習内容は今後B班で検討することとなった.受講者募集の手続きにおいては、2012年度の地震動計算の実習を軸とした講習会を実施した際に、定員超過のため受講できなかった受講希望書が17人いたことに留意することとなった.実習する教材は2012年度同様、国立研究開発法人防災科学技術研究所で開発しているGMSとすることとなった(前回以降のGMSにおけるバージョンアップは反映したものとする).なお,本講習会が日本地震学会の主催行事であることに鑑み,講習内容がGMSの使用方法の講習のみにならないように内容を企画するべきであるとの意見があった.

■調査班C
 資料97-3により,宮腰班長から,今年度の研究会を今年10月に神戸市で開催される日本地震学会秋季大会前日の10月25日の夕方に開催する方針及びその講演テーマ,講師,開催場所の案が示された.開催場所は三宮駅近くの神戸国際会館とすることとなった.講演テーマ,講師については引き続きC班で検討することとなった.

3.その他
*香川委員長から,学会ウェブサイトにおいて強震動委員会の活動内容を記した紹介文が古いままとなっており書き換えの必要があるとの指摘が委員からあったとの報告があった.これについては,香川委員長が書き換え案を作成し,後日,委員に意見照会することとなった.
*100回目に当たることとなる今年度の4回目の委員会(例年1月下旬又は2月上旬に開催されている)における記念企画について意見交換があった.引き続き,香川委員長及び竹中、畑山両幹事及び調査班Cで検討することとし,次回委員会までに具体的な案を提案することとなった.
*香川委員長から,ニュースレターまたは「なゐふる」への連載企画の検討を進めようとの提案があった.
*次回委員会は,7月下旬又は8月上旬に開催することとなった.

4.学会内外からの報告
*香川委員長から,理事会等報告として次の報告があった.
 -今年度の秋季大会では,「地殻活動ビッグデータが拓く新世界」と題した特別セッションを実施することが検討されている.
 -今年度の秋季大会の前日には,1月に開催した阪神・淡路大震災20年シンポジウムと同様の趣旨の一般公開セミナーを行うことを計画している.オーガナイザーは関西大学・林能成先生.
 -防災教育をテーマとしたモノグラフが6月に刊行される予定.
*委員から次の情報提供があった.
 -9月3日,日本建築学会地域交流会,工学院大学にて.
 -9月21日~23日,歴史地震研究会,京丹後市峰山総合福祉センターにて.
 -11月6日,地盤震動シンポジウム,建築会館にて.


以上

注)日本地震学会ニュースレターには,イタリック体の部分を省略して掲載しています.


第98回強震動委員会議事録

日時:2015年8月10日(月) 15:30~17:30
場所:東京大学地震研究所1号館3階事務会議室A
出席者(敬称略):香川(委員長),岩田,植竹,川崎,隈元,司,芝,津田,中原,畑山,堀川,松崎,松島,三宅,宮腰,盛川,横井(以上委員)

資料
98-0 第97回強震動委員会議事録
98-1 調査班A報告
98-2 B班打合せ資料
98-3 資料(C班)
98-4 強震動委員会資料[香川]


議題:

1.各調査班からの報告等
■調査班A
 資料98-1により,中原班長から,日本地球惑星科学連合大会において強震動委員会等からの提案により設けられた特別セッション「兵庫県南部地震から20年:活断層と強震動に関する研究の進展」(コンビーナ:中原班長,堀川委員,日本活断層学会・丸山正氏)の結果が報告された.また,来年の日本地球惑星科学連合大会に向けて,特別セッションを提案する準備を進めていることが報告された.提案の締切りは10月15日であり,次回強震動委員会開催の前となる見通し,提案する特別セッションのテーマは8月中には固める方針とのこと.他の学協会等の団体との共同提案を模索するのが望ましいとの考えでいる.AGUとの合同セッションの提案も考えられるが,是が非でもそうしようとは考えていない.テーマとして,現在A班内では,「K-NET運用開始から20年」、震源モデルと強震動に関するもの等のアイデアが出ている.「K-NET運用開始から20年」については,GNSSのハイレート観測結果の強震動研究への利活用等も視野に入れ、対象をK-NETのみではなく「基盤観測網」に拡げ,基盤観測網と強震動研究に関するものをテーマとしてはどうか,測地学会との共同提案も考えられるのではないかとの意見があった.

■調査班B
 資料98-2により,津田班長から,今年度の講習会は12月4日に東京工業大学田町キャンパスにおいて開催すること,内容は広帯域の地震動予測に関する理論・方法の解説及び差分法による長周期地震動の計算方法の実習とする案が示されるとともに,講習会全体タイトル(仮題),講習題目(仮題),講師(案)及び今後の準備スケジュールが示された.講習会全体タイトル,講習題目及び講習内容については,今後B班において講師とも調整しつつ詰めることとなった.香川委員長が日本地震工学会と日本活断層学会に対して共催の手続きをとることとなった.講習会の案内文は8月中に固める方針とのこと.3年前に地震動計算方法の実習を内容とする講習会を開催した際に、定員オーバーのため受講できなかった受講希望者については,今回優先的に受講申込みを受け付けることとなった.

■調査班C
 資料98-3により,宮腰班長から,今秋神戸市で開催される日本地震学会秋季大会前日の10月25日18時30分から神戸国際会館において,第28回研究会を開催することが報告された.講師は神戸大学・多賀謙蔵教授,講演題目は「関西地区における内陸直下地震に対する取り組みの現状」.案内文は日本地震学会ニュースレター投稿ずみ(未掲載).なお,例年1月下旬または2月上旬に開催している強震動委員会の終了後に行っている研究会については,当該委員会が第100回の委員会であり,記念行事が別途検討されていることから,その検討状況に応じて考えることとする方針.

2.学会内外からの報告
資料98-4により,香川委員長から,7月7日に開催された理事会の議事及び8月4日に開催された日本地震学会・日本地震工学会会長懇談会の話の概要が報告された.
*EPSのネパール地震特集号に対する投稿の呼びかけがあった(投稿締切9/30).
*9/3,日本建築学会地盤震動小委員会,於:工学院大学新宿キャンパス.
*10/6~7,土木学会地震工学研究発表会(予稿締切9/4).
*11/6,日本建築学会地盤震動シンポジウム.
*2016/8/15~17,ESG5,台北(予稿締切2016/2/16).
*2017/1/9~13,16WCEE,チリ サンティアゴ(予稿締切2015/9/15).
*日本建築学会地盤震動小委員会では地盤震動に関する解説本の発刊を計画しており,原稿は査読が終了した段階.


3.その他
資料98-4により,香川委員長から,今年度末に来年度からの新委員を公募するとの案が示され,了承された.
同じく資料98-4により,香川委員長から,次々回で第100回となる強震動委員会に際しての記念行事に関する提案があり,第100回強震動委員会では,通常の委員会を行った後,強震動委員会の今後のあり方,活動方針等を議論するための意見交換会を委員会外部の方を交えて拡大的に行うこととなった.日時は当座2016年3月4日午後とし,場所は東京大学地震研究所とすることとした.議論のための資料として,強震動委員会のこれまでのメンバー構成,活動内容等を整理することとした.
*次回委員会は日本地震学会秋季大会開催期間中に開催することとなった.

以上

注)日本地震学会ニュースレターには,イタリック体の部分を省略して掲載しています.


第99回強震動委員会議事録

日時:2015年10月26日(月) 12:10~12:50
場所:神戸国際会議場 403室
出席者(敬称略):香川(委員長),青井,岩田,植竹,大堀,川崎,司,竹中,武村,津田,中原,畑山,古村,堀川,松島,三宅,宮腰,盛川,横井(以上委員)

資料
99-0 第98回強震動委員会議事録
99-1 調査班A報告
99-2 B班打合せ資料
99-3 資料(C班)
99-4 第99回強震動委員会資料[香川]


議題:

1.各調査班からの報告等
■調査班A
 資料99-1により,中原班長から,来年の日本地球惑星科学連合の特別セッションの提案に向けて班内等で検討した結果,「K-NET運用開始から20年:強震観測網のこれまでとこれから」と題するセッション(コンビーナ:中原班長,久田委員,東京電力・引間和人氏)を強震動委員会単独で提案することとし,すでに申込みを済ませたことが報告された.今後,3名程度の招待講演者を年内に決める方針とのこと.

■調査班B
 資料99-2により,津田班長から,122日に東京工業大学田町キャンパスにおいて開催する講習会の開催要領が報告されるとともに,受講者に配付された開催案内が紹介された.定員35名に対して44名の申込みがあり,9名の方にはキャンセル待ちをお願いしているとのこと.定員の増加は難しいとのこと.当日の準備,実習時の受講者からの質問対応等に協力するよう委員(とくにB班)に対して呼びかけがあった.

■調査班C
 資料99-3により,宮腰班長から,10月25日に神戸国際会館で開催した第28回研究会について,19人の参加者があったことなどの結果報告があった.今年度内の次回の研究会については,次回強震動委員会が第100回の委員会であり,記念行事を予定していることから通常の研究会は実施しないこととなった.


2.学会内外からの報告
*資料99-4により,香川委員長から,1013日に開催された理事会の議事の概要が報告された.
201681517ESG5,台北(予稿締切2016216).

3.その他
香川委員長提出の資料98-4により,今年度末に来年度からの新委員を公募するとの方針が確認された.また,今年度活動報告や予算については次回強震動委員会までにメール審議し,委員会においては,次年度以降の活動計画,幹事,班長,班構成の検討を行うとの方針も確認された.
資料98-4に基づいて,次回第100回強震動委員会及び記念行事の実施要領,内容等について議論した結果,次のことが決まった.
- 開催日時は20163414:30から3時間程度とし,場所は東京大学地震研究所とすること.
- はじめに1時間程度通常の委員会を開催し,その後2時間程度記念行事を行うこと.
- 記念行事は,強震動委員会の今後のあり方,活動方針等を委員会外部の方(強震動委員会委員長・幹事経験者等を含む)を交えて拡大的に行う議論するための意見交換会とすること.
- 記念行事は,強震動委員会の設立経緯のレビュー,これまでの活動内容のレビュー,現状における学会内の他の委員会の活動内容と強震動委員会の活動内容の整理等を行った後,強震動委員会の今後のあり方,活動方針等を議論するという形で進行させること.
- 100回強震動委員会及び記念行事については,学会ML等により開催案内をお知らせすること(通常の強震動委員会は強震MLにより開催案内をお知らせしている)

以上

注)日本地震学会ニュースレターには,イタリック体の部分を省略して掲載しています.


第100回強震動委員会議事録

日時:2016年3月4日(金) 14:30~17:45
場所:東京大学地震研究所1号館2階セミナー室
出席者(敬称略):香川(委員長),植竹,大堀,川崎,隈元,司,竹中,武村,津田,中原,畑山,古村,堀川,松崎,松島,三宅,宮腰,盛川(以上委員),入倉,工藤,纐纈,笹谷,佐藤俊明(以上旧委員),大島治,加藤照之,長郁夫,土屋敬一郎,戸塚英雄,樋口茂生,山田眞(以上オブザーバ)

議題:

 今回の第100回強震動委員会では,はじめに約1時間にわたって通常の委員会を行った後,今後の強震動委員会の進むべき方向等について議論を行う場として,強震動委員経験者をはじめとする委員以外の参加者を広く募って拡大委員会を約2時間にわたって開催した。

1.通常委員会

資料
100-0 第99回強震動委員会議事録
100-1 第100回強震動委員会(通常委員会)資料[香川]
100-2 調査班A報告
100-3 B班打合せ資料
100-4 資料(C班)


1-1.理事会報告
 資料100-1により,香川委員長から,1月7日に開催された理事会において,強震動委員会の今年度事業報告を行うとともに,来年度事業計画案(例年通りの内容を基本として,本日開催される拡大委員会における議論を踏まえて活動内容の見直しを行う可能性があることを含ませたもの)及び予算案(例年どおりの額のもの)を申請したこと,本日開催される拡大委員会のための追加の旅費の支出が承認されたこと等が報告された.なお,1月に実施された学会の役員選挙の結果を受けての理事会の新体制及び平成28年度事業計画・予算は3月22日に開催される理事会で確定するとのこと.

1-2.各調査班からの報告等
■調査班A
 資料100-2により,中原班長から,今年の日本地球惑星科学連合大会に強震動委員会から提案した特別セッション「K-NET運用開始から20年:強震観測網のこれまでとこれから」(コンビーナ:中原班長,久田委員,東京電力・引間和人氏)が採択されたこと,招待講演を3件依頼したこと及び12件の一般発表の申し込みがあり,2コマの口頭発表枠が割り当てられたこと等が報告された. 招待講演は,青井委員による「K-NET20年」,大崎総研・佐藤智美氏による「K-NET強震記録の設計用長周期地震動策定への活用」,愛知工大・横田崇氏による「我が国の地震対策におけるK-NETデータの活用」.

■調査班B
 資料100-3により,津田班長から,12月2日に東京工業大学田町キャンパスにおいて開催された講習会の収支報告及びアンケートの結果が報告された.講習内容についてはおおむね満足との回答が大勢だった.なお,今回キャンセル待ちとなった受講希望者の人数は9人だったとのこと.

■調査班C
 資料100-4により,宮腰班長から,本日は拡大委員会開催のため研究会は開催しないこととしたこと,来年度の研究会の開催については来年度の強震動委員会の新体制発足後に検討することとしたことが報告された.なお,これまでの研究会の開催実績が整理したものの資料提出があった(資料100-4に記載).

1-3.強震動委員会次期体制について
 香川委員長から,1月の役員選挙により,竹中委員が次期強震動担当理事として選出されたことから,同委員に次期強震動委員長に就任してもらうとの提案があり承認された.続いて香川委員長から,竹中委員,現委員長,現幹事の協議により,次期幹事を干場委員と畑山委員(継続)に依頼することとしたいとの提案があり,承認された.続いて,今般実施した強震動委員会委員募集の結果,京大・浅野公之氏、北大・高井信雄氏,産総研・長郁夫氏,鉄道総研・津野靖士氏の4名から応募があったことが香川委員長から報告された.資料100-1により,応募者の自己紹介及び委員会における活動の抱負を審議した結果,4名の応募者には委員に就任してもらうこととなった.次期班構成については,拡大委員会における議論等を踏まえて今後次年度以降の活動内容等の検討が行われることとなるため,その検討に併せて班構成も検討することとなった.

1-4.強震動講習会資料(テキスト)の残部の保存・処分方法について
 学会事務局から香川委員長に相談があったことを受けて検討した結果,永久保存用として毎年分2部以上を,加えて残部購入希望に備えて過去3年分を5部以上ずつ保存してもらうよう学会事務局に依頼することとなった.また,学会事務局には,廃棄する分については,日本地球惑星科学連合大会及び秋季大会の機会に希望者に無償で配付するようにしてもらうことを依頼することとした.なお,今後はなるべく廃棄部数がでないように印刷注文部数に配慮することを申し合わせた.関連して,強震動講習会資料の電子ファイルが散逸しないようにこの際整理したほうがよいとの意見があった.

1-5.拡大委員会について
 資料100-1により,香川委員長から,本通常委員会に引き続いて実施する拡大委員会の次第の説明があった.委員会がめざす方向についての参加者の自由討論において取り上げる論点について,防災学術連携体との関わり合い方を追加してはどうかとの意見があった.

1-6.その他
*次回委員会は,日本地球惑星科学連合大会期間中に会場で開催することとなった.
*学会内外の動きとして次の報告があった.
- ESG5(2016/8/15~17,台北)の予稿締切が2/16から3/15に延期された.
- 2016/3/25,防災研・地震研拠点間連携共同研究研究集会.


2.拡大委員会

資料
第100回強震動委員会(拡大委員会)次第[香川]
(日本地震学会ニュースレター1996年5月号より)仮称「強震動委員会」について[武村]


 まず,強震動委員会の設立時の幹事である武村委員から,「日本地震学会の変革と強震動委員会」と題する講演があった。講演では,まず戦後の地震学会の設立経緯と学会が有していた基本的性格(気風)に関する話に始まり,1995年兵庫県南部地震を受けて地震学会が他学界・社会との関係でどのような問題を抱え,理事会においてどのような議論・対応が行われたか,そして将来検討委員会が設けられ,その中で強震動委員会をはじめとする他の委員会(広報委員会,学校教育委員会等)がどのような経緯で設立されたかということが学会ニュースレターの記事を引用するなどの形で話された.話は地震学会の法人化をひと区切りとして結ばれた.また,強震動委員会の初期の活動について,社会に向けた活動として最初のものは学会ニュースレターにおける強震動地震学基礎講座の連載であったとし,その重要性を指摘した.
 講演後,入倉元委員長から,KiK-netの地上観測点の設置については強震動委員会が一定の役割を果たしており,これも強震動委員会の初期の活動として重要視できる旨の補足があった.
 次に香川委員長から,これまでの強震動委員会の活動内容がレビューされた.主な活動として,シンポジウムの開催,地方自治体の震災対策支援システムの見学,ニュースレターへの講座の連載,強震動講習会の開催,強震動研究会の開催,日本地球惑星科学連合大会のセッション提案,強震動委員会ホームページの運営があること,委員有志としての活動ではあるが,書籍「地震の揺れを科学する」の出版を行ったこと等が紹介された.
 この後,委員会がめざす方向についての自由討論があり,強震動委員会の活動のあり方,日本地震工学会との連携,原子力発電の問題との関わり合い方等について意見表明・意見交換が行われた.
 具体的には次のような意見表明・意見交換があった.なお,すべての発言を網羅できていないことをお断りする.
*近年の強震動委員会の活動内容が変わりばえのないものとなっているとのことだが,それは安定的に活動できていることであり,強震動委員会で行っているような活動は継続性が重要であるということもあるので,基本的にはこのまま継続することでもよいのではないか.
*日本地震学会は,日本地震工学会との連携を深めようとしているところであり,強震動委員会の活動に期待するところ大である.
*強震動委員会の活動が学会会員によく知られていないという実情がある.これへの方策としては,さまざまな分野の会員に強震動委員会に入ってもらうとか,強震動委員会として提言を出すこととかが考えられるのではないか.
*提言を出すことについては他の学会が熱心に行っているところであり,日本地震学会としてもそのようなことを行うことが必要かどうか考えるべきではあると思うが,学会として提言を出すことはたいへんであるという事情もある.強震動委員会として提言を出すことはあってよいことと思う.
*確率論的地震動予測地図などが出されているが,一般の人が確率論的な評価結果をどのように理解すればよいかということについて,強震動委員会として検討してもらえるとありがたい.
*防災学術連携体や原子力発電の問題との関わり合い方について,次のような意見表明・意見交換があった.
-原子力発電の問題は,学会として関わり合いを持たざるをえないものと思われ,強震動委員会においてもそのことを視野に入れて活動を行ってほしい.
-学会として何も言わない,何もしないということではすまされない問題と思う.例えば,討論会の開催なども考えられるのではないか.
-地震学的にはわからないことが多すぎて,原子力発電に関する何らかの判断を引き受けられるレベルにないということを社会に対して発信すべきである.
-研究者として果たすべき責任・役割があるはずであり,それを果たしていくべきである.安全審査等における判断の責任は行政当局が負うべきもの.
-科学の領域をふみこえて科学者が主観的な判断をすべきではない.安全審査等における判断の責任は行政当局が負うべきものとは言うが,社会からは科学者にも責任の一端があると見られるのは避けられない.
-強震動予測がどのくらいの精度で予測できるかということについて,過去に発生した地震の揺れの再現性という見地からだけではなく,予測問題の見地から十分議論し,それらを踏まえた上で強震動予測の結果がどのように活用されるべきかを社会に対して発信していく必要があるのではないか.


以上

注)日本地震学会ニュースレターには,イタリック体の部分を省略して掲載しています.


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