強震動委員会では,強震動研究の成果をより効果的に社会に役立てるための手がかりをつかむことを目的として,研究成果が社会でどのように活用されているかを知り,また,関連分野における最新の研究を学ぶため,強震動研究会を開催しております.
このたび,以下の通り研究会を実施することが決定しましたのでお知らせ致します.日本地震学会会員・非会員に限らずどなたでも参加できます.どうぞ奮ってご参加下さいますよう,お願い申し上げます.
【第34回研究会の概要】
日時:2019年3月27日(水) 講演17:30-18:30 (開場17:00)
場所:東京大学地震研究所1号館2階セミナー室
参加費:無料,登録:不要
講師:岩崎貴哉 氏(東京大学地震研究所)
講演題目: 北海道中軸部の地殻構造の概要と地震活動のテクトニクス的背景
概要:北海道は,その南方沖で太平洋プレートの沈み込みが,また中軸部においては中新世より東北日本弧と千島弧の衝突が進行している複雑な地質環境にある.この島弧-島弧衝突構造を解明する目的で,1994-2000年に制御震源構造探査が精力的に実施され,衝突帯南部で千島側の地殻の剥離構造がイメージングされた.その後には高密度地震観測によるtomography解析が行われ,更に2010年代には既得の制御震源データに対して新しい手法を用いた再解析によって,衝突帯南部での地殻の剥離が再確認されるとともに,北部での地殻の衝突の形態,前縁側の10kmを超える厚い堆積層内の詳細構造,更にその下の東北日本弧の中部・下部地殻についての新たな知見が提出されている.しかし,これらの結果は,tomographyの結果と必ずしも調和的ではなく,特に衝突帯南部における地殻の剥離構造自体については一致を見ていない.本講演では,これまで成果の概要と今後の課題を示すとともに,2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震(M6.7)や衝突帯域下の深さが20-30kmを超える地震活動のテクトニクス的背景について考察を加える.
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