日本地震学会強震動委員会 第18回研究会

強震動委員会では,強震動研究とその関連分野の関係者が集う研究会を企画しております.その目的は,

1. 現実の社会の中で強震動研究の成果が一体どのように利用されているかを知りそれを強震動研究に反映すること,
2. 強震動研究の目指す目標をより高くしてゆくために,関連分野における最新の研究を学ぶこと,
3. 強震動研究とその関連分野に関わる人々との相互理解を深めること,

などです.研究会を積み重ねながら,強震動研究をより効果的に社会に役立てるための手がかりを見つけて行きたいと考えております.

このたび,第18回研究会を,以下のように実施することが決定しましたのでお知らせ致します.強震動委員会と同様に,研究会の方も公開で実施しますので,どうぞ奮ってご参加下さいますよう,お願い申し上げます.

【第18回研究会の概要】
日時:2010年1月20日(水)17:30〜19:00
(同日15:00〜17:00に開催される第75 回強震動委員会の終了後)
場所:東京大学地震研究所・1号館3階会議室(新館3階)

講師:  長 郁夫氏(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)
講演題目:「微動アレイ探査の限界と可能性 一般理論を切り口として」
講演概要:
 微動アレイ探査は反射法探査や屈折法探査とともに国内で良く実施されている地盤構造探査法です.微動は車,工場などのような人間の日常活動あるいは波浪,風等の自然現象によって励起される地面の微弱な振動です.このような自然の微小振動を地震計アレイで観測することで,それを構成する表面波の伝播速度から地下のS波速度構造を推定できます.主な手法としては,空間自己相関法(SPAC法)や周波数−波数スペクトル法(F-Kスペクトル法)があげられますが,近年,講師はSPAC法を一般化したような解析理論の枠組みをつくりました.この枠組みの中で,例えばアレイの展開範囲が狭くて済む(極小アレイ)方法や,ごく単純な手続きでラブ波の位相速度を解析できる方法を生み出し,現在,実用化を目指しています.またこの理論はSPAC法のためのアレイ設計にも役立てることができて,例えば2個の地震計によるSPAC法(2点SPAC)のための波動場の条件や必要な観測時間を事前に評価できるということです.近年,多様な分野において利用される機会が増えてきた微動アレイ.その手法の概要と表面波探査としての限界および一般理論を切り口とした将来展望についてご紹介いただきます.


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